こんにちは。DEKIRU-JANです。
ダンスを習っている人から、こんな相談を受けることがあります。
最初は音に合っているのに、踊っているうちにだんだんリズムがズレてしまう。
先生から「もっと音を聴いて」と言われるけど、ちゃんと聴いているつもりなんです。
もし、あなたにもそんな経験があるなら、今日は少し違う視点を紹介したいと思います。
私は、この現象を「リズム感がない」とはあまり考えていません。 むしろ、こう考えています。
身体が、同じタイミングで動き続けられなくなっている。
音は聴こえている。でも身体がついていけない
ダンスでは、「リズム感」という言葉がよく使われます。 もちろん、本当に音の聴き取りが課題になる場面もあります。
でも、音は聴こえているのに身体が合わない人も少なくありません。
最初の8カウントは合っている。16カウントくらいまでは踊れる。 ところが、曲が進むにつれて少しずつズレ始める。
もし耳が原因なら、最初からズレているはずです。 最初はできているのに途中から崩れるのであれば、身体の中で何かが変化している可能性があります。
身体では何が起きているのでしょうか
私が多くの子どもたちやダンサーを観察してきた中では、次のような流れがよく見られます。
最初は、余計な力が入りながらも何とかリズムに合わせています。 しかし、その状態では必要以上に筋肉を使っています。 すると、同じ動きを続けることが難しくなります。
最初は同じ深さで踏めていたダウンも、少しずつ浅くなる。 床を押すタイミングも少しずつ変わる。 脚を振り出す速さも一定ではなくなる。
すると身体は、そのズレを何とか補おうとして別の場所を使い始めます。
- 足が疲れてくると腰を反る。
- 骨盤が後ろへ逃げる。
- 肩に力が入る。
- 首が固まる。
こうした代償動作が起きると、本来スムーズにつながっていた身体の連動が崩れ始めます。
すると今度は、「今、自分の身体がどこにあるのか」を脳が把握し続けることが難しくなります。
運動科学では、このような身体の位置を把握しながら動き続ける感覚も重要だと考えられています。 身体の基準が少しずつズレることで、リズムも少しずつズレていく。
私は、この流れが起きていることが多いと感じています。
本当の原因は「疲労」ではないかもしれない
ここで一つ大切なことがあります。
「じゃあ疲れたからズレるんですね。」
そう思うかもしれません。 でも、私は少し違う見方をしています。
実際には、踊り始めて30秒ほどで動きが崩れてしまう子もいます。 まだ疲れるほど踊っていません。
では、なぜ崩れるのでしょうか。
その子たちを観察していると、多くの場合、最初から必要以上に身体が緊張しています。
安心して動けている身体は、必要な筋肉だけを使って効率よく動けます。 一方で、緊張した身体は、必要以上にたくさんの筋肉を同時に使ってしまいます。
その結果、疲れやすくなり、動きが乱れ、リズムも崩れやすくなる。
つまり、疲労が原因というより、身体の使い方が疲労を生み、その疲労がさらに動きを崩している。 そんなケースも少なくありません。
「音を聴く」より先に観察してほしいこと
リズムがズレると、多くの人はこう考えます。
もっと音を聴こう。
もちろん、それも大切です。 でも、その前に観察してほしいことがあります。
- ダウンの深さは毎回同じでしょうか。
- 骨盤は途中で後ろへ逃げていないでしょうか。
- 呼吸が止まっていないでしょうか。
- 足だけで頑張っていないでしょうか。
- 肩や首に余計な力が入っていないでしょうか。
こうした身体の変化を観察していくと、
音に合わせられない。
ではなく、
身体が同じ動きを続けられなくなっていた。
ということに気づく人は少なくありません。
リズムは「耳」で刻むものではなく、「身体」で刻むもの
私は、リズム感とは生まれ持った才能ではなく、 身体が安定して同じ動きを繰り返せる能力でもあると思っています。
だから、リズムがズレることを責める必要はありません。
「センスがない。」
「自分には向いていない。」
そう決めつける前に、まず身体を観察してみてください。
何が起きているのか。どこから崩れ始めるのか。 どんな条件なら、最後まで気持ちよく踊れるのか。
そこを観察し、小さく試し、また観察する。 その繰り返しの中で、身体は少しずつ変わっていきます。
最後に
これは、ダンスだけの話ではありません。
スポーツでも。楽器でも。日常生活でも。 人は、「同じ動きを正確に繰り返す」という場面を何度も経験します。
だから私は、「リズム感がない」とは考えません。 そこには、まだ観察されていない条件があるだけです。
できない理由を探すのではなく、できる条件を見つけていく。
その積み重ねの先に、「あれ? できるじゃん。」という瞬間が待っているのだと思っています。